女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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112:名無しNIPPER[saga]
2017/09/08(金) 20:20:06.52 ID:c9qxGCK40

「いくか」

 隊長が最初に潜り抜ける。そして一番が続く。

「どうした三番?」と二番が言った。
「ああ、いや」
「故郷がさみしくなったか?」
「いや、違うんだ。なにか後ろのほうで見えたような気がして……」
「ははは、幽霊でもみたか? むしろ幽霊なら地上にたくさんいそうだがな」

 確かに、と僕は思った。
 背後を見る。なにもいない。きっと哀愁がもたらした幻覚を、三番は見たのだろう。残していくものは、誰にだってある。

「俺たちは死ぬかもしれない。それでも……人生を特別なことに消費したいと思ったからここにいるんだ」

 二番がにやりと笑う。
 ここに集まったのは普通以外を求めた酔狂なものたちだ。
 なにかを成したいと思い、勇気を胸に、集った若者。

「さあいこう」

 その言葉に、三番は頷いた。
 もう一度僕は振り返る。やはりそこには、なにもなかった。


 ◇



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