女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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106:名無しNIPPER[saga]
2017/08/31(木) 21:54:40.96 ID:iVDTxJdE0

「ボスは世の中のすべてを知るために若いころに走り回った、と言いました。そこで聞きたいんですが、今の政治はなぜこんなに整っているのです? レジスタンスが機能しているのはわかる。しかし、今の政治体制は王政だ。政治内容には投票が用いられ、民意は社会を動かしているが、それを王はすべて拒絶できるし例もある。王自身がなにか政策をできる状態でもある。しかし、これだけの絶対権力を持っているのに暴君がでないんです?」
「……」
「間違いなく、裏で支配している者がいるはずです。絶対権力は飾り。本当は誰かが操作している。そして……その手のものは、ボスに接触したと思うんですよ」

 今のボスは間違いなく、世の中にとって重要な位置にいる。なら、ここまでくるのにボスは完全に自力で、自分一人で来たのか? それもあるかもしれない。ボスの能力は非常に高いから。
 でも、もしボスがひとりで今の位置にこれたとしても、仮に裏の支配者がいたら接触があるはずだ。おまえに協力してやろう、というはず。それもこんな重要な位置にいる人物ならば……裏で支配しているものがじかじかにボスに接触しても、おかしくはない。思うに、ボスの立ち位置というのは今の世の中を維持するのに、王の次にもっとも重要な立場だと思うから。
 これはあくまで賭けだ。しかし、勝算はある。

「僕は裏の支配者に関わったぞ(、、、、、、)」

 ボスはゆっくりと目を閉じた。懐に手を伸ばし、煙草とライターを取り出す。
 火が付く。時間の流れみたい、ゆっくりと煙が昇っていく。
 ボスは黙ったままだった。

 それに内心焦る。僕が言ったことはとんだ夢たわごとだったかもしれない。彼に本当だったとしても、知りすぎたからという理由で殺されてしまうかもしれない。
 なにもかもが不確定、不確実。ある程度の理屈はある。だがそれでも、今やっていることはあらゆる面で賭けだ。

「ボス」と僕は彼に言った。

 ボスはけだるげに煙草を灰皿に押し付け、「いる」と短く呟いた。
 そのひとことで、ほんの少し気が緩む。だけど、まだ問答は続いている。
 裏の支配者。そんなものがいるのなら、そいつはどこにいるのだ? どうしてこうも、誰も足取りをつかめない? きっと、たどり着けれないところにいるのだ。そう、確信している。

「地表を捜索しに行くんですよね、裏の支配者が、いるところに」

 僕が裏の支配者の手のもの、もしくは本人に接触したのは、僕になにか見込みがあるからだ。いや、対して物でないかもしれない。しかし、なにも接触したことがない者よりもまた再接触できる可能性は高い。そして、その先は……。
 ボスは裏の支配者が地表にいると、肯定も否定もしなかった。

「僕をそのチームに入れてもらえませんか?」
「なぜ?」
「ボスの味方はそんなに多くはないでしょう。しかも裏の支配者についてしっているほどのひとなんて。レジスタンスのほとんどは本物のごろつき集団。なら、手札は限られているはずです。それなら、犠牲者をなにがなんで救おうとし、おそらく未来おいていなくなってしまう少年を駒として消費したほうがいいはずだ」
「なぜ俺がそんなに裏の支配者なんぞに興味があると思っているんだ? そもそも俺は裏の支配者と連絡を取り合えている状況で、なにもかもを知っている状態かもしれないのに」

 そのひとことに、僕は笑った。

「第一に、こんなにも長い年月を保ってこれたというのなら、おそらくその裏の支配者はかなりの秘密主義です。第二に、ボスはすべてを知りたがるひとでしょう。それこそ命がけになってでも」
「俺のことをどう思おうが、お前の勝手だ」
「そうですね」

 僕にとって、ボスはそういうひとだ。能力が高くて、ほとんどのことを自分一人でやってきたひとだから。絶対にというわけではないが、ボスが知らないという状況のまま生きることを選ぶ人物とは思えない。それに、聞き出せはしなかったが、革命を考えていてもおかしくはない。彼は世の中の人間のことが大事と考える正確ではなく、どちらかと言えば自分の価値を最も大切にする究極の自分主義者だ。

「手配はしておこう。しかし、帰ってきた後にはすべてを話せ。そして、俺自身がやつに会う方法を聞いてこい。以上だ」



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