ダイヤ「貴女と選んだ」千歌「道の先で」
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55: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2017/09/03(日) 06:58:18.27 ID:TCQYYDI0o

先生は言い辛そうにしてた。

うん、えっとね。1mも進んでなかったんだ。

その場でバタバタもがいて、溺れただけ。

25m……? そんなの一生辿りつけない。

でも、ルビィは元網元の娘だから、黒澤家の娘だから。……そして、何よりもお姉ちゃんの期待に応えたかったから。

やらなきゃ、やらなきゃ、無理でもやらなきゃ、やらなきゃ──怖い、怖い、怖い! 怖い!!

また息が出来なくなる。水の中は苦しい。怖い怖い怖い怖い……。

その日はもう水を見るのも怖くなっちゃって、結局ルビィはもう足が竦んで動けなくなっちゃって。

そんなとき、震えるルビィの手をぎゅっと握ってくれた人がいたんだ。


花丸『ルビィちゃん。怖いなら無理しなくて、いいんだよ。』


それが、花丸ちゃんだった。


ルビィ『花丸ちゃん……でも、でもルビィは……』

花丸『誰にだって苦手なことはあるよ』

ルビィ『でもルビィは網元の娘で、黒澤家の……娘で……』

花丸『違うよ。』

ルビィ『え……』

花丸『ルビィちゃんは、ルビィちゃんだよ。たまたま泳ぐのが苦手なルビィちゃんがたまたま元網元の娘に産まれたって、それだけだよ。』

ルビィ『……でも。……でも……』

花丸『……でも?』

ルビィ『お姉ちゃんに……頑張れって……』

花丸『……苦しい想いしてまで、頑張らなくていいんだよ』

ルビィ『……でも』

花丸『ダイヤさんが怖い?』

ルビィ『怖い……とかじゃないけど。……ルビィが諦めちゃったら、またお姉ちゃんのこと、ガッカリさせちゃう……』

花丸『……期待に応えなくちゃいけないの?』

ルビィ『ルビィは……お姉ちゃんと違って、なんにもできないから……それでも、頑張れってお姉ちゃんが言ってくれたのに……ルビィは……』

花丸『ルビィちゃんはダイヤさんになりたいの?』

ルビィ『え……?』

花丸『ダイヤさんは確かにマルもすごいと思う。マルも知ってる。でも、ルビィちゃんはダイヤさんじゃないんだよ』

ルビィ『花丸ちゃん……』

花丸『マルはルビィちゃんのいいところいっぱい知ってる。だから、きっとルビィちゃんにしか出来ないこと、いっぱいあると思う。最初からダイヤさんを基準にして、ルビィちゃんがダイヤさんと同じことが出来るようになろうとしなくていいんだよ』

ルビィ『…………』

花丸『ルビィちゃんはルビィちゃんなんだから。ね?』

ルビィ『お姉ちゃん……なんて言うかな……』

花丸『何か言ってきたら、マルに相談して。もし、怒られるようだったら、マルも一緒に謝るし、説得もするから。だから、無理しないで、ね?』

ルビィ『……うん』


そうして、ルビィは水泳を断念したんだ。

お姉ちゃんもルビィが水泳を諦めたことには、すぐ気付いたみたいなんだけど



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