44: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2017/08/26(土) 19:03:54.42 ID:JgS4ljCho
わたくしはふーっと軽く一息吐いて、続ける。
ダイヤ「期待からも、責任からも……わたくしは逃げられなかった。」
わたくしは唇をきゅっと結ぶ。
ダイヤ「……一度、目を逸らしてみて、思い知った……。自分の背負っていた、責任と期待の重さを……。」
──その言葉と共に、わたくしは自ら、繋がれた指をほどいて
ゆっくりと、千歌さんの正面に、移動する。
ダイヤ「わたくしは……ルビィにこんな重いもの背負わせられない……」
千歌さんの眼を真っ直ぐ見据えて、そう言った。
ダイヤ「……でも、貴女が好き。……好きなの。」
千歌「──」
貴女は反射的に何かを言いかけて、すぐに口を噤んだ。
噫、貴女は今からわたくしが言おうとしていることがわかっているのね。
わたくしが恣意的にならないように、貴女は口を噤むのね。
ダイヤ「……貴女とルビィ……選べない……。そんなの選べないわ……。」
少し伏せた、わたくしの顔をツーっと……雫が伝う。
それが涙なのか、汗なのか、自分でもよくわからなかった。
ダイヤ「だから、千歌さん……。お願い。……貴女が決──」
言葉を遮るように千歌さんの人差し指がわたくしの口を塞いだ。
千歌「……ダメだよ」
ダイヤ「……どうして」
千歌「それはチカが決めていいことじゃないよ」
ダイヤ「……」
千歌「それに……もしチカが決めたら、チカの立場だったら、なんて言うかなんてわかってるじゃん。」
貴女の立場……ね。
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