ダイヤ「貴女と選んだ」千歌「道の先で」
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12: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2017/08/12(土) 15:26:03.03 ID:Tx30bpDoo

沼津の冬はリリーの話によると、東京よりはやや温かいらしい。

とは言っても、すぐそこにある海から吹いてくる風はもう冷たい。

ってか、そういう理由どうこう以前に主観的に寒い。


善子「元引きこもりが、気まぐれでうっかり散歩なんて、するもんじゃないわね……」


どこかの誰かに触発されたのか、最近はどうも晴れ模様を見ると身体を動かしたくなる。

晴れていてもだんだん近付いてくる冬の足音──跫が確実に聞こえてきている。

身も心も凍て付かせる、終焉の季節が……。

……ちょっと、このフレーズかっこいいわね。

そんなことを考えていると茶々を入れるように冷たい風が吹き付けてきた。


善子「さむ……」


風を避けるように商店街に逃げ込む。


善子「はぁ……本屋でも行こうかな……」


見慣れた商店街で一人のときに行く先なんて、だいたい決まってるようなもので

本屋へと足を運ぶ。

店内に入り、サブカルコーナーを物色しようとしていたら、本棚の前に見覚えのあるちっこいのがいるのに気付く。


善子「ずら丸?あんた何してんのよ?」


そこにはずら丸が本棚の前で立ち尽くしていた。


善子「まさか、貴方もついにリトルデーモンとしての宿命を自覚したというの!?」

花丸「……」

善子「……えーと、ずら丸?さすがに無視は堪えるんだけど……」

花丸「……あ、ここ文庫の棚じゃない」


そう呟いてずら丸が私の方に方向転換して。


花丸「ずらっ!?」


ぶつかった。


花丸「ご、ごめんなさい!オラぼーっとしてて……善子ちゃん?」

善子「……」

花丸「あ、えっと、ごめんね」

善子「いや、いいけど。大丈夫? 普通文庫の棚とサブカル棚間違えないわよ?」

花丸「あ、うん。……ちょっと、考え事してて。」

善子「まあ、いいけど……。あんたが沼津に一人で来るなんて珍しいわね? バス間違えなかった?」

花丸「む……マルもそこまでじゃないずら。今日は1回しか降りる場所、間違えなかったし。」



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