42:名無しNIPPER
2017/08/08(火) 13:20:48.10 ID:5FDHqpH0O
真夜中、扉をノックしたり開けようとしたりする音で吃驚して跳ね起きた。幽霊か。
おそるおそる寝室の内鍵を解除しドアノブをまわして開けると……。
――――出た。
「……おっ、お、お兄ちゃん?」
「ひゃっ、はっ、は、はぁ……びっくりさせるなよこんな真夜中に」
妹がびくついた様子で、私の許しなしに寝室に入ってきた。
「なんだよ、眠っていたところに、心臓止まりそうだったんだぞ」
「ごめんよ……」
「で、なんなんだよ。そんなに怯えた表情をして。一人じゃ眠れないのか?」
「恥ずかしいけど、まぁそんなところ。……あのさ、私、久しぶりまたあの夢をみたんだよ」
そう言って、妹は私のベッドに腰を下す。
「ああ、あれか。久しぶりっていうことは小学生以来ってことかな?」
「ううん、高校生になってからもちょくちょく見てたよ。でも、今回はより鮮明に、ね」
「……差支えがないていどに私に話してくれないか?」
「うん……。改めて思うけど、あれって巡洋艦北上が見てきた光景なんだなって思えた夢だったよ。潜水艦魚雷……回天で、まだ若くてかっこいい青年たちを送るの。あれはたぶん練習なんだろうけど、不備が多くて練習でも生きて帰ってこれない事が多いの。それを知ってて送りだすんだからすごくすごく罪悪感に苛むのさ。あんなのやだよ。自分はまだ平和な時代に生まれたとおもう……けど、私だってちょっとしたことで沈むことになるかもしれない……。自分の身体が消える? そんなのやだよ……こわい……こわいよ……」
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