15: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/08/05(土) 05:09:26.65 ID:DkEnKQtk0
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「へっくし! ……夏でも夜は冷えるねー」
「恵美の場合、恰好の問題もあるんじゃないかな?」
そんな風に、他愛のない話を交わしながら歩く夜の道。
駅が近づく。二人が分かれる時が来る。
「じゃねー、琴葉。また明日」
「うん、また――」
いつものように別れの挨拶を交わそうとして、ふと、琴葉は上げかけた片手の動きを止めた。
色々とあった今日という日は、ある意味特別な一日で。
けれども、それは長い人生から見れば、ある夏の日の一日以上の意味は無い。
楽しかった、そして思い出に残ったのは事実だが、
それ以上の付加価値を見出すことができるような、そんな一日では決してないと言う事実。
現に今、彼女はこの"特別だった日"を普段通りに終わらせようとしていたのである。
いつものように分かれる駅前、決まって口にする言葉は……。
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