14: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/08/05(土) 05:08:33.39 ID:DkEnKQtk0
「あっ」
その画面には、メールが一件。差出人はプロデューサー。
「恵美、ちょっとゴメン」
「おっと浮気ー?」
「もう! そんなんじゃないってば」
からかう恵美をあしらって、開いたメールを確認する。内容は琴葉に向けた労いの文面。
彼女の方も環がプールを堪能したこと、思わぬ偶然の出会いから、予定以上にみんなが休日を楽しんだこと。
それらを簡潔な文章でまとめて綴り、送信ボタンを押そうとした直前で……
携帯を操作する指を止め、琴葉が少し考え込む。
「……ねぇ恵美」
「ん、なーに?」
「夏って、何か嬉しいことが起きそうな……そんな季節だと思わない?」
恵美がキョトンとした顔になる。
「なに? アバンチュールとかの話?」
「そういうことじゃないけど……。サプライズ的な?」
「まっ、よく分かんないけど楽しい季節ではあるんじゃない? ほら、『待ちに待ってた』とかつくし」
「やっぱり? そうよね!」
「冬にもつくけどっ♪」
「……台無しよ」
苦笑しながら、琴葉は改めて編集したメールを送信した。
プールで撮ったみんなの写真。その中から選んだ数枚を添付したとっておきの一通が、
仕事に疲れたプロデューサーに爽やかな憩いをもたらすようにと願いを込めて。
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