ある門番たちの日常のようです
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90: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/08/18(金) 14:50:44.65 ID:w0/XbvPLO
『………ア?』

『ゥッ、アァ?』

非ヒト型の深海棲艦は知能がヒト型に比べて極めて低く、罠や欺瞞にかかりやすい上自身がよほど致命的なダメージを受けるまで“退却”というものを知らない。リ級やル級のように戦況を読んで軽微な損害でも撤退するといった知性的な行動は上位種からの命令が無い限りほぼ見られず、しかしながらそれ故に損害を顧みずに前進してくるため物量を用いた浸透強襲を迎撃することは困難を極める。

だがそんな非ヒト型でも、武蔵による規格外の一撃には知能云々を越えた生存本能を大いに揺さぶられたようだ。

飛散したト級の体液や肉片を頭から浴びて、奴等の進軍が困惑し躊躇するかのように止まる。

尤も、それは寧ろ最悪手に近いわけだが。

「武蔵さん、奴等ビビって棒立ちになりました!構わず続けて撃って下さい!」

「わかりやした姐さん!!」

「俺達は敵左翼に火力を集中する!陸奥、羽黒、撃て!!」

「此方も攻撃を開始します!山城、扶桑、主砲斉射!!」

居並ぶ戦艦部隊の砲撃が、唸りを上げて殺到する。

非ヒト型種は姫級などの随伴個体を除いて、現状確認されているほとんどが所謂軽巡クラス、駆逐艦クラスの下級艦だ。通常兵器から見れば十分な難敵でも、ある程度の練度を積んだ艦娘達からすればよほど物量差が無ければそう脅威となる相手ではない。

ましてや、“海軍”所属の艦娘部隊。練度は一般的な鎮守府に配属されているそれらと比較してまさしく次元が違う。

寸分違わぬ精度での砲火に的確に急所を射抜かれて、圧倒的な火力の炸裂に容易く甲殻を砕かれて、次々と薙ぎ倒されていく。

特に、あの男が率いる武蔵の練度は群を抜いていた。もともと“艦娘・武蔵”の性能は高いが、奴はそれを更に極限まで鍛え上げたらしい。

奴の砲が一つ吠える度に、確実に一隻、敵が地に屍を晒した。

まさに、一撃必殺と呼ぶに相応しい。


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