ある門番たちの日常のようです
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371: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/10/14(土) 22:03:24.75 ID:1FFMfYnF0
それにしても、“最高司令官殿”か。

先程冷静になるよう自らに言い聞かせたばかりにもかかわらず、トソンは思わず不快げに眉を顰める。
 _,
(゚、゚トソン(どの口が言いますか)

“海軍”の存在を知る国家の間では、この組織はアメリカ合衆国が日本を“追従させて”作った超法規的なものだと認識されている。実際最高指揮権は合衆国大統領である自分に帰属しているし、No.3に当たる総提督もアメリカ海軍のアルタイム大将の兼任だ。上層部の凡そ7割強もアメリカからの人員提供であり、軍内での権限は極めて大きい。

あくまでも、“名目上”は。

(゚、゚トソン「……お気遣い感謝致します。“海軍”最高司令補佐官殿」

彡(゚)(゚)《“部下”として当然の役割や、礼なんていらんやで》

……嗚呼、奴の薄ら笑いが目に浮かぶ。噛みしめられた奥歯の音が向こうに届いていないことを願わなければ。

“海軍”は実質的に、国際社会の一部に黙認させた上で日本からアメリカへと行われる艦娘という【兵器】のレンドリースだ。一方で日本側も事実上アメリカ合衆国の兵器・人員の一部をある程度自国の裁定で動かせるようになっているため、Win-Winどころか日本の方が“海軍”によって得ている利益は寧ろ大きい。

さらに日本は、戦後復興時など比べものにならないほどの支援をもアメリカから勝ち取っている。それは確かに法外極まる額の“見返り”だが、合衆国単体で深海棲艦の圧倒的物量に対応する際に要する戦費よりは遙かにマシという絶妙な額でもあった。結論アメリカとしては、“安い買い物”と割り切ってこの要求を飲みざるを得ない。

加えて言えば、“海軍”それ自体で振るわれる権限も実質的には日本の方が大きい。

確かに上層部の人員供給はアメリカが大半を占めるが、彼らは殆どが日本側からの強力な推薦があって着任している。これがまた在日米軍の元指揮官に日系三世、親族に親日的な人物が多い家系の生まれ、単純に日本文化贔屓など「よくもこれだけ探したな」とトソン達が感心してしまうほどの所謂知日派揃い。

おまけに実績・実力も相応と「推薦」を突っぱねる隙は1セント硬貨の厚みほども見当たらず、彼女達は上層部の編成を日本側の案に委ねざるを得なかった。


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