337: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/10/04(水) 21:49:04.05 ID:KBfEQrQA0
無線自体は直ぐに繋がったが、そこからしばらく耳に届いてくるのは銃声や爆発音、そして人の叫び声ばかり。一向に返答はないまま、たっぷり20秒ほどの時間が過ぎる。
《此方Sparta、鎮守府南部区画より突入したがさっきも言ったとおり敵多数に囲まれている!》
そろそろ焦れてきた頃に飛び込んできた返事は、まるで1キロも向こうから声を届かせようとしているかのような叫び声。鼓膜がびりびりと痛むほど震え、思わず一瞬無線から耳を離した。
《戦力比は当方22名に対し敵は少なく見積もっても600〜700!
B級のゾンビ映画みたいな光景だ、お宅の筋肉質な顔馴染みならさぞや大喜びだったろうな!
まぁ、俺の好みはラブロマンスなワケだが!》
ジョークを交える程度にはまだ余裕があるらしいが、BGMの戦闘音は全く収まる気配がない。
【晴嵐】に近接航空支援の要請をした際に妙に慌てた声だったため気になっていたが、本当に人間“嫌な予感”というのはとても良く当たる。
(,,゚Д゚)「Wild-CatよりSparta、敵部隊の内訳を知らせろ。それとそっちに着いてる艦娘の兵装残弾は?」
《基地内から出てきたロシア軍の軍服を着込んだ奴等が30程度施設内から撃ってきてる、後のは鎮守府の外からだ!
ほとんどは元ムルマンスク市民と思われる、服装にも武装にも統一感がない。銃器すら装備してない奴も向かってくるぞ!》
《【Sparta】長良よりWild-Cat、装備の25mm連装機銃は残弾4割ほど!まだ戦えるけどそろそろ厳しいよ!
Chaser、そっちの状況も教えて!》
《【Chaser】川内よりWild-CatそれからSparta、こっちも多数の民兵に囲まれた!
14cm連装砲もそろそろ弾切れになる。敵は10人倒すと15人追加される有様だ、とても間に合わない!》
《あー、RabbitよりWild-Cat並びにSparta、割り込みになるがいいか?》
(,,゚Д゚)「……どうぞ」
Rabbitの指揮官とは、国籍が違うが顔馴染みだ。表向きの顔が在日米軍の軍曹であるそいつとは、合同訓練の際にたまたま近くに配属された時二回ほど他愛のない雑談を交わしている。
軽口の多い男だが、根は真面目で任務にも忠実だ。こいつが味方との通信を遮ってまで話に割って入るなんてことは、滅多にない。
それがよほど重要な報せで無い限り、そして───
《制圧した大学の屋上より市街地の大通りを鎮守府へ進軍する“市民”を多数確認した。
………数え切れないがまぁ3000は越えてそうだな。スクラム組んで道を埋め尽くしながら進んでいくぞ。
速度から逆算して、あと10分ほどで鎮守府に侵入する》
────よほど悪い報せで無い限り。
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