ある門番たちの日常のようです
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248: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/08(金) 23:55:57.81 ID:1z/IxxL8O
一歩踏み出した瞬間、計ったように港の方から砲弾が飛来した。ほんの3メートルほど横で火柱と土煙が上がり、“海軍”の兵士が1人吹き飛ばされて目の前を横切っていく。

上半身と下半身が引き千切れ臓物や肉片を飛散させる“それ”が通過する間際だけは、誰かがAV機器の0.1倍速ボタンを押したかのようにゆっくりと周辺の光景が流れていった。頬を掠める幾つかの石礫も、吹き飛ばされた兵士の生気がない虚ろな眼も、立ち上がろうと正面路地の中程で悶えるイ級のひび割れた身体も、新たに飛んできた敵艦の砲弾も、全てがはっきりと我が輩には見えていた。

(#ФωФ)「怯むな!!」

二歩目を踏み出した足が地に着いた瞬間に時の流れは戻り、口の中に飛び込んできた砂利を吐き出すことすらせず我が輩は叫ぶ。もう一つの砲撃で飛来した瓦礫を身をかがめて避け、右手に装備した白兵用ブレードを構えて今まさに起き上がりつつあったイ級の横っ面に飛びかかる。

(#ФωФ)「ふんっ!!」

『グガァッ!!?』

登山家がツルハシを岩壁に打ち込むような要領で、刃を再び奴の巨体に捻り込む。狙う余裕がなかったため先程のように急所への一撃とはならなかったが、それでも新たに穿たれた傷でイ級の体躯がびくりと震えた。

「Attack!!」

川 ゚々゚)「キヒヒッ!!」

『グゲッ、ゴァアアッ!!?』

我が輩が跳び下がってから間を置かずに、更に二度、三度と斬撃や刺突が叩き込まれ苦痛に呻く声が後に続く。特に三番目に突っ込んだ女───クルエラ=レイトストの斬撃は一際深く的確にイ級の甲殻を抉り、露出した肉繊維からは青い血がジュクジュクと滲み出ている。

『ガァアアア………ッ!』

それでも、艦娘よりは遙かに貧弱な人間の攻撃ではよほど連続的に急所に攻撃を集中できない限り絶命させるのは難しい。

目の前のイ級も、だいぶ弱々しいながらも威嚇の唸り声を上げながら起き上がっていた。此方から距離を取るようにじりじりと後退しているが、逃げる様子も無い。仕留めるどころか、まだ戦う力すら残っているようだ。


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