ある門番たちの日常のようです
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232: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/07(木) 13:17:17.84 ID:y5a/8HOy0
港湾部の戦況は、まさに一進一退となっていた。我が輩たちが押し込むこともあれば、深海棲艦共に押し返されることもある。攻防の逆転はそれぞれが攻勢限界に達するごとに定期的に訪れ、結果として我が輩たちは敵の浸透を一歩も許さず、また此方もほんの1cmすら浸透することができぬままでいる。

そして今は、周期的に言えば我が輩たちが攻勢に出る手番だ。

「邪魔!!」

『『『!!?!?』』』

「やぁ、見事なもんですねぇ」

群がるハエの如く四方から押し寄せてきた敵の艦載機を、叢雲の対空機銃が唸り全て蜂の巣にする。まさに一瞬での殲滅に、青葉が走りながら器用に拍手を繰り出した。

「────んじゃ、お次は青葉の番ですね!!」

『ォオオオオオオォオッ!!!』

隊列から一歩踏み出した青葉が、そのまま一気に加速する。疾走する彼女の視線の先には、先程ハインドからの攻撃を受けていた軽巡ト級。

『ォオオオオオッ!!!』

「遅い遅い────せいっ!!」

三頭の内両脇の二頭が口を開き、中から突き出された単装砲が火を噴く。が、青葉はそれを前に飛んで避けると、そのままト級の下潜り込んで地に着かれた奴の腕めがけて右足を一閃した。

『ア゛ア゛ッ!?』

樹齢数百年の巨木を一撃で叩き割ったような、心地よい乾いた音がト級の断末魔と共に響く。蹴りを受けた右腕の肉が盛大に破け内側から骨格が突き出し、傷口からぼたぼたと青い血を吹きながらト級の巨体が横倒しになる。

『ァアアァア………ゴガッ?!』

「んー……やっぱり手負いを殺っても歯応えがないですねぇ」

呻くト級の上下の顎を掴み、そんなことをぼやきながら青葉は無造作に両腕を開く。

『ギッ…………』

甲殻の破砕音と筋肉繊維の断裂音が同時に響き、頭部を上下に引き裂かれたト級は悲鳴すら上げることを許されず絶命した。

「いやぁ、かつての地獄がこうなるとちょっと懐かしくすらなっちゃいますね!!さ、まだまだ頑張りましょう!」

「сатана……」

全身に奴等の返り血を浴びて満面の笑みで微笑む青葉の姿に、ロシア兵の1人が震える声で呟く。

まぁ、悪魔にしか見えんよなこの姿は。


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