20: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/08/09(水) 23:39:01.46 ID:JoA81wv70
「だいたいな、そんな人外じみた軍人が本当に居たとして………」
喉まで出かかった台詞の最後の部分を飲み込む。例え言葉にしようがしまいが変わらない現実だと解っていても、やはりそれを「自分の声で」形にすることは躊躇われた。
そう、認めたくない。
もし演義版三国志の諸葛亮孔明やキングダム版李牧が裸足で逃げ出すような、或いはF○Oで英霊として出てきかねないようなレベルの軍人が遠く離れたヨーロッパに実在したとして。
そんな化け物じみた存在を持ってしても、なおこれほど途方もない損害に「留める」事が限界だったなんて、それこそ夢も希望もない。
「………」
人類が滅亡する────子供の頃にやたら話題になっていた【ノストラダムスの大予言】に始まり、そんな話は何度も耳にしてきた。科学的根拠のない戯れ言として、或いは友人たちとの交流を盛り上がる余興として笑っていたそれが、まさか“本当に起こりえる情況”になるとは一度だって想像したことはなかった。
今はまだ、この日本からは遠く離れた地での出来事ではある。だけど今回の事例を見れば解るとおり、ここに積み上げられた書類の中に記された諸々が10分後の日本で起きないという保証は全くない。横須賀が、沖縄が、東京が、そしてこの大洗が、瞬き一つの間を置いて戦場になったとしても何の不思議もない。
「……っ」
瞼の裏に、次々と光景が浮かぶ。燃え盛る警備府の建物が、崩壊した大洗の街並みが、瓦礫の山の中で倒れて動かない門番二人の姿が。
そして、敵の砲撃を四方八方から浴びて沈んでいく、加賀や鈴谷や、他の艦娘達の姿が。
今、当たり前として過ごしている日々が突然炎に飲み込まれる有様。その光景は寝不足からくる白昼夢とするにはあまりにも生々しすぎて、背筋に巨大な氷柱を押し当てられたような寒気が全身を包み込んだ。
484Res/548.20 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20