ある門番たちの日常のようです
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19: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/08/09(水) 23:32:46.13 ID:JoA81wv70
資料の最後のページに挟まっていた、画質の荒い一枚の写真をクリップから取り外して近くで眺める。

写っているのは一人の男の上半身。気怠げな目付きでカメラのレンズを見つめる顔立ちから察するに俺や双子より一、二歳若いか同じくらいの年齢だろう。胸から下げた黒色の逆さ十字のペンダントが重たげに見えてしまうほど身体の線が細く、軍人と言われても俄には信じがたいぐらい写真を見る限りでは「華奢」だ。

( ´_ゝ`)「人は見かけによらないとはよく言ったもんだな」

「全く」

いつの間にやら背後に回り資料を覗き込んできていた兄の方の言葉に、頷いてしまう。実際この写真を第三者に見せつけても、写っている陸軍少尉が生身で深海棲艦の【姫級】を撃沈した英雄だなんてきっと誰も信じられない。

「軽巡棲姫を“白兵戦で斃した”ってだけでもとんでもないが、別の資料によるとリスボン沖の時に艦娘の到着まで陸軍戦力のみで深海棲艦を食い止めた経験もあるらしい。ポーランド軍の介入までベルリンが陥落せず持ち堪えたのも、この陸軍少尉の指揮が大きな要因だって話だ」

( ´_ゝ`)「………」

「………」

( ´_ゝ`)「盛られてるだろ。流石に」

「だわな」

一瞬顔を見合わせた俺達は、同じ結論に行き着いて頷き合う。某小説サイトのチート転生軍師系主人公じゃあるまいし、それほどの大戦果を挙げられる人間がそうそうこの世にいてたまるものか。

しかも当時ベルリンに展開していた戦力は、10台未満の第3世代戦車と大半が警官で構成されたイベント警備のための人員だったという。そんな戦力、深海棲艦どころかそれなりに武装が整っていれば同じ人類の軍隊が相手だったとしても30分と保たずに壊滅する。

( ´_ゝ`)「妥当なところで言えば情報が錯綜する中で尾鰭が付いた都市伝説ならぬ戦場伝説、か」

「夢のない結論だけどな。本当にそんな変態がいたら俺は密室で【八仙飯店の人肉饅頭】10時間ループ耐久やってやるよ」

(;´_ゝ`)「…………なんてもん見てんだよ」

「正直二度と見たくない」

サスペンス映画としては普通に面白かったのが悔しい。

アンソニー=ウォンって凄い役者なんだな。


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