190: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/02(土) 01:00:09.07 ID:uPdkT3I3O
「………というかさ、本当にもしかしてお酒入れられてたのかなここ」
俺の直ぐ後ろに立つ2番艦が、鼻をすんすんと鳴らしながら怪訝な表情を見せる。その姿は夕立や白露と言ったこいつの姉妹艦達とはまた別ベクトルの犬っぽい仕草で、さながら不審物に気づいた警察犬のように見えてくる。
「なんか、アルコールの臭いがする。臭い自体はちょっと薄いけどさ」
「………いやいやいや時雨姉貴、ここ仮にも一国の最重要軍事施設なンだろ?ンな大量の酒なンざ置いてあったわけないだろ、気のせいだって」
(,,゚Д゚)「ロシアだからなぁここ。正直この倉庫が丸ごと酒蔵だったと言われても驚かないぜ俺は」
比喩表現ではなく、ロシア人の奴等はどうも酒の類いを水と同じ感覚で飲んでいる節はある。実際、奴さん達の魂と言っても過言ではない国民的酒の一つであるウォッカ(водка)は、日本語で直訳すると「お水ちゃん」だ。
因みにこの豆知識は中学の頃に知り合った友人から聞いた。あの妙ちきりんな語尾は相変わらずなのだろうかと一瞬だけ胸の内が懐かしい記憶に満たされる。
風の噂で聞いた話だと、今はどこかの学園艦に乗り込んでそこで教師をやっているらしい。かなり頭がいい奴だったので、なんか納得しちまう。まさに適材適所ってもんだ。
…………等と、がらにもなく“昔の思い出”なんてものにほんの数秒でも浸ったのは間違いだったと。
「Freeze」
(,,゚Д゚)「………クソッ」
脇腹の辺りに突きつけられた銃口の冷たい感触を味わいながら、今俺は心の底から後悔している。
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