176: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/08/31(木) 16:20:25.88 ID:PIXFVoZp0
「─────※※※!!?」
「※※※※、※※!?!?」
小気味よくなるほどの敵の動揺ぶりが、夜風に乗って此方に伝わってくる。
監視塔の影から飛び出し、Ostrich達と敵との間を遮るようにして駆けていく時雨と江風。弾幕を集中してきた敵の感情が、戸惑いから驚愕へ、そして恐怖へ移り変わるのに時間は殆ど必要なかった。
「無駄だね」
「はっ、効かねぇッつの!!」
そりゃそうだ。2人ともパッと見た限りは年頃の少女二人。それもどう見ても戦闘向きとは言いがたい服装の二人組が何百、何千という弾丸を浴びても顔色一つ変えずに突っ込んでくるのだから。きっとT-1000に追われているときのジョン=コナーも、奴等と似たような気持ちだったに違いない。
「カ、カンムs」
「っと」
「ウァッ────!?」
最初に二人の正体に気づいたらしい敵兵の1人が舌っ足らずな発音で叫ぼうとしたが、それより先に額を時雨が投擲した棒状の何かが深々と額に突き刺さる。
「ほいっと!」
崩れ落ちたその屍体を踏み抜いて、赤い髪を靡かせた改白露型が中央のトラックに飛び乗った。
「そおら!!」
「※────」
無造作に振るわれる右手の斧。咄嗟にAK47を掲げたその敵は、銃身ごと身体を縦に両断されて両側に倒れ込む。
「………きひひッ♪」
足下と顔の右半分を自身の髪の色と同じ真紅の血で染め、別のトラックのフロントライトにまるで舞台の演出のように照らされて。
周囲で、逃げることすら適わず呆然と凍り付く敵を見回しながら、江風は嗤った。
……以前ロマさんから教わった話だが、イスラム教にはイブリースという悪魔がいるらしい。
今のあいつらにとって、イブリースと眼前の悪魔、どちらが恐ろしいかはおそらく議論の余地があるだろう。
「ふふン、いいねいいね!やっぱ駆逐艦の本懐は戦闘だよなー…………いっくぜー!」
「ヒッ─────」
歓喜の声を高らかに上げて、赤い髪の悪魔は再び斧を振りかぶる。
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