千歌「──あの日の誕生日。」
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7: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2017/07/31(月) 23:35:51.72 ID:qA4i4zbEo


    *    *    *





果南「祖父ちゃん!」


部屋の奥の方でのんびりとラジオのニュースを聴きながら、ダイビングの道具のチェックをしている祖父に声を掛ける。


祖父「……なんだ」


祖父ちゃんはこちらに顔を向けずぶっきらぼうに返事をしてきた。


果南「この日!私、仕事出られないって言ったよね!?なんでこんなに予約入ってるの!?」


私は件の日付を指差して、祖父に向かって抗議の声を上げた。


祖父「しっとるわ。その日は俺一人で捌くから気にするな。」

果南「いや、無理でしょ!昨日までこの日、全然予約なかったのになんでこんなに……」

祖父「団体客が入ったんだ。別に珍しいことでもないだろ」

果南「じゃあ、断ってよ!」

祖父「せっかく、淡島まで来てくれるお客さんをこっちの都合で断るのも悪いだろ。」

果南「……もう!!」


私は踵を返して、玄関に向かおうとする。


祖父「……どこ行くんだ果南」

果南「父さんと母さんに電話!こっち戻ってきてもらう!」


私の両親は沖縄の方でダイビングショップを経営しているから、普段は祖父と二人で店を回しているわけだけど

この日、私が抜けたら祖父ちゃん一人で回すのが不可能なのは火を見るより明らかだ。

だから、この日だけでもこっちに戻ってきてもらって手伝ってもらおうと思ったのだけど──


祖父「やめとけ。繁忙期なのは向こうも同じだろうが」

果南「そうだけど……じゃあ、どうするのさ!」

祖父「だから、俺が一人で回すって言うとるだろうが」

果南「だからこんな予定じゃ無理だって言ってるじゃん!」

祖父「無理かどうかはやってみんとわからんだろ」


ああもう、どうして昔気質の人はこう頑固なのかな。



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