25: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2017/08/01(火) 00:00:00.24 ID:I46KCp/9o
果南「千歌……」
千歌「なぁに……?」
果南「……10年も待たせて、ごめんね。……誕生日おめでとう。」
その言葉を聞いた途端
千歌「──」
私の眼から涙が溢れてきた。
ああ、そっか……そうだったんだ。
今やっとわかった。
私は『誕生日おめでとう』って……ただ、果南ちゃんにそう言って欲しかっただけだったんだ。
私が本当に大切だったのはこの一言だったんだ。
千歌「果南……ちゃん……っ……」
果南「いっぱい待たせてごめん……。……寂しかったよね。」
千歌「さみしかった……よぉ……っ……」
果南「こんなにも大切な日なのに……10年もお祝いできなくて、おめでとうって言ってあげられなくてごめんね。」
千歌「うっ……ひぐっ……」
果南「迎えに行ってあげられなくて……ごめんね。」
千歌「かな……ん……ちゃん……っ……」
私は果南ちゃんの胸の中で小さく首を振った。
果南「迎えに来てくれて……ありがとう。」
千歌「うっ……うぇぇぇん……っ……」
私はついに声をあげて泣き出してしまった。
あの日と同じように。
だけど──あの日とは違う悲しい涙ではなかった。
やっと、胸に刺さった小さな棘が消えていくような……そんな温かい涙だった。
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