15: ◆/9yNbjaibo
2017/07/29(土) 21:47:03.68 ID:zlFpgG6Z0
視界が戻る。
目の前には大きな菜園や木々があった。
ここは我が国の城の中庭。
中庭に大きな魔方陣を展開し、簡単に城に戻れるようにしてある。
さらにこの中庭は空間の拡張をして・・・なんて小難しいことを聞いたことがあるが、学者でもなんでもない自分はわからないことだしどうでもいいこと。
魔法使い「大丈夫でしょうか?少し倦怠感があるかもしれませんが」
姫「ええ、大丈夫よ」
魔法使い「王座の間で皆様がお待ちでしょうから。すぐにでもいきましょう」
魔法使いと姫様の後に続き廊下を歩く。姫様の足は震えている。
・・・限界が近いのだろう。
それでも、ふらつかないように踏ん張っていた。
魔法使い「それでは、私はここで失礼します」
王座の間の扉の前で魔法使いが立ち止まる。
そして魔法使いが手を叩く。すると、扉がゆっくりと開いていく。
いつも見る、ずっと変わりが無い王座の間では、国の重鎮と、王女様がいた。
王女「・・・!」
扉を開けた時、王女様の目は大きく開かれ、俺と姫様を凝視していた。
王女「・・・帰って、これたのですね」
姫「お母様・・・!」
姫様は公的な集まりであるにもかかわらず、王女様のもとへ走っていった。
姫「お母様・・・!」
・・・母の胸に飛び込み、ただ泣きじゃくる彼女の姿は、年相応のものであった。
・・・彼女はさらわれてから暗い牢屋に閉じ込められながらもずっと正気を保ち、さらに魔王、堕神をも恐れぬ精神力を見せつけた。
感情をせき止められる精神力がある。
しかし、ここでその歯止めも、決壊した。
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