37:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 22:27:43.97 ID:wKOBUZhB0
「どうしたんだ?」
「お兄ちゃん……美波は嘘つきました。本当はちょっと泣いちゃいました……」
スカートをぎゅっと握って泣くのを我慢している美波。言わなければバレないのに、いや知ってるけど、わざわざ正直に言うなんてなんて健気なんだろう。
38:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 22:33:35.90 ID:wKOBUZhB0
――――
―――
――
「いやあ、あのおつかいは俺史上でもトップクラスに大好きなエピソードだよ」
39:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 22:38:41.79 ID:wKOBUZhB0
「そりゃ、美波ちゃんだったら引く手あまたでしょ」
升に入った残りわずかな日本酒をすする。
「そうですね。昔はお兄ちゃんのお嫁さんになるのって言ってくれたんだけどなあ」
40:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 22:43:53.62 ID:wKOBUZhB0
「んじゃ、あたしらはこのタクシーで帰るわ」
フラフラしながら早苗さんちひろさんがタクシーに乗って帰っていく。
「じゃあ、また来週ね」
41:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 22:55:07.48 ID:wKOBUZhB0
――――
―――
――
「お兄ちゃん!」
42:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 22:55:36.79 ID:wKOBUZhB0
「じゃあ美波も行く!」
「我侭言わないでくれ」
「嫌だよぉ……お兄ちゃんは美波のこと嫌いになったの?」
43:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 22:59:39.98 ID:wKOBUZhB0
どうしたものか。思案に暮れていると一つ閃きが走る。
「そうだ。美波がいっぱいお勉強していっぱい運動してすごく良い子でいたら、お兄ちゃんが迎えにきてやる。どうだ?」
今まで俯いていた美波はゆっくりと顔を上げる。涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
44:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 23:03:53.16 ID:wKOBUZhB0
場面は一気に変わって新幹線改札前。父さんは仕事の都合で来れなかったけど、母さんと美波、湊が見送りに来てくれていた。
「あっちでも元気でね」
「うん。たまに連絡はするよ」
45:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 23:06:35.37 ID:wKOBUZhB0
「お兄ちゃん!」
「ん?」
美波に呼ばれ振り向く。美波は何か言いたげで、しかし中々言い出せないといった雰囲気を漂わせていた。
46:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 23:18:25.37 ID:wKOBUZhB0
――
―――
――――
微睡から少しずつ覚醒する。しかし瞼が重くてあかない。タクシーはまだ走っているらしいことが振動で伝わる。何か手に温かいものが触れている。
47:名無しNIPPER[saga]
2017/07/27(木) 23:19:00.19 ID:wKOBUZhB0
「……そうだよなあ」
「き、聞いてたんですか!?」
顔を真っ赤にして慌てふためく美波。すまんなと謝るも、美波は小っちゃくなってしまった。
60Res/40.46 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20