5:名無しNIPPER[saga]
2017/07/21(金) 18:51:07.40 ID:+NyjqKO10
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真姫「それで日本に飛び帰って来たってわけね、エリー」
赤色の髪を指に巻き付けながら、彼女は言った。
こういう癖は変わっていない。
私たちは駅前の喫茶店で、和栗パフェなんて秋らしいものをつついていた。
絵里「そうよ。私、どうすればいいのかしら。真姫は医学部でしょ? 知っているかと思って」
真姫「私が目指しているのは外科医よ。精神科医じゃないわ」
絵里「それでも、基礎は大学で教わっているでしょ?」
真姫「……まだ半年だけよ」
真姫は面白くなさそうに口を尖らせると、一転、真剣な顔で向き直ってきた。
真姫「エリー」
絵里「な、何かしら」
真姫「この話はもう、私たちの手が及ぶ範囲を超えているわ。プロに任せなさい」
絵里「でも……!」
真姫「納得できない?」
絵里「そうよ! だって、私たち仲間だったじゃない! あんなに一緒にアイドルをやっていたじゃない!」
真姫「途中までね」
絵里「それでも!」
真姫「ロシアに逃げた人が何を言うの? 私たちの絆は永遠だとでも言うつもり?」
絵里「……それは」
痛い言葉だった。私は卒業後、亜里沙を日本に置いてロシアに留学していた。
推薦の申し出を受けた理由に、「あの日」から逃げるため、がなかったと言えば嘘になる。
真姫「私たちは今、8人なのよ。9人じゃない。もう、音楽の女神じゃない」
絵里「……にこはどうしてるの」
そう言うと、真姫は苦虫を噛み潰したような顔をした。
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