ライラ「水平線」
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4: ◆nIlbTpWdJI[saga]
2017/07/17(月) 21:53:45.53 ID:b3owXeO0o

「釣れないなぁ……」

「釣れませんです……」

「なんだか退屈になってくる」

「そうでございますか?」

「魚の一匹も釣れてないだろ? そりゃ退屈もするさ」

「ライラさん、そうでもありませんです。釣りは待つ楽しみがあるでございます」

ライラさんはのんびりした声でそう言った。

釣りをする、となんとなく決めて出かけてきたものだからろくに考えもしなかった。

釣りといえば魚が掛かった瞬間に竿を振り上げその手ごたえこそが醍醐味とばかり思っていた。

身を焼く日差しでかなり苛立っている自分が恥ずかしくなる。 

椅子替わりにしたクーラーボックスから水筒を取り出し、麦茶を体に流し込む。

喉をごくごくと鳴らし冷たさが全身を駆け巡る。

冷たさはそのまま心地よい頭痛へと変化した。こめかみを抑えながら息を吹く。

代り映えしない浮きは、太陽の粒が散らされた波の上で漂い続けている。





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