橘ありす「平らな世界」
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1:sage
2017/07/15(土) 23:20:57.11 ID:i8/Uaq4i0
モバマスのSSです
P表記です

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:sage
2017/07/15(土) 23:22:07.08 ID:i8/Uaq4i0
「Pさん、あれは何の建物ですか?」

「んー?」

少し遠い、しかし車で行けない距離でもない地方での小さなイベントへの移動中。
以下略 AAS



3:sage
2017/07/15(土) 23:23:03.13 ID:i8/Uaq4i0
「何だか、お城みたいですね」

「あー…まぁ…お城、そうね…」

確かに外国のお城の様な見た目をしている…
以下略 AAS



4:sage
2017/07/15(土) 23:23:37.87 ID:i8/Uaq4i0
「え…どうかしましたか?」

「いやなんていうか…そう、車でタブレット見てると気持ち悪くなるぞ?」

「そんなにずっと下、見ませんよ」
以下略 AAS



5:sage
2017/07/15(土) 23:24:16.07 ID:i8/Uaq4i0
「…なんかはぐらかされた気が」

「ソンナコトナイヨ。お、いちごのアイスあるぞ!買ってやろうか?」

「む…しょ、しょうがないですね…今回は騙されてあげましょう」
以下略 AAS



6:sage
2017/07/15(土) 23:25:18.49 ID:i8/Uaq4i0
__________



仕事は順調に終わり、現場を出たのは陽が沈みかけていた頃だった。
以下略 AAS



7:sage
2017/07/15(土) 23:25:52.07 ID:i8/Uaq4i0
帰路につくのに車を走らせる。
駅前、と言ってもほとんど何もないが、前を通過する。
学生時代よく通った場所だ。
もっと小さい頃は奥の駄菓子屋さんでお菓子を買って食べたっけ…。
そんな懐かしいことばかり考えてしまう。
以下略 AAS



8:sage
2017/07/15(土) 23:26:31.28 ID:i8/Uaq4i0
「ここ、Pさんの地元なんですよね」

「ん…知ってたのか」

窓の外を眺める自分に、彼女は言った。
以下略 AAS



9:sage
2017/07/15(土) 23:27:00.59 ID:i8/Uaq4i0
「…プロデューサーって、その、どんな学生だったんですか?」

「学生?学生ねぇ…しょうもないことばっかりしてたけど」

「聞きたいです。どんなことして遊んでたのかとか…」
以下略 AAS



10:sage
2017/07/15(土) 23:27:27.07 ID:i8/Uaq4i0
ありすは相槌を打ちながら、時折質問しながら耳を傾けていた。
話しているうちに段々興に乗ってきてどんどん話してしまった。
気づいた時には自分の周りの人間関係が大体把握できるくらいには。

「あいつら今何してんだろうな…ほらそこ、そこのラーメン屋。昔キライだった先輩が働いててさ」
以下略 AAS



11:sage
2017/07/15(土) 23:28:10.84 ID:i8/Uaq4i0
「あ、でも1回だけ行ったっけかな…マネージャーが『P君ラーメン好きなんでしょ、帰りに寄ってこうよ』なんて誘ってくれてさ」

「…へぇ」

「その人も一つ先輩だったんだけど、色々気が合う人で…どした、ありす」
以下略 AAS



12:sage
2017/07/15(土) 23:28:54.78 ID:i8/Uaq4i0
「…そうですか」

「最後に先輩の卒業式で話した以来だな…」


以下略 AAS



13:sage
2017/07/15(土) 23:29:22.03 ID:i8/Uaq4i0
「…何でもないです」

「何だよ、気になるじゃないか」

「何でもないです!」
以下略 AAS



14:sage
2017/07/15(土) 23:29:55.77 ID:i8/Uaq4i0
…代わりに思い出したのは、先輩との最後の別れの時の会話だった。
自分も上京すると、早く都会に行きたいと言った自分に彼女は
 『君がこの街のことを思い出す時は、出来れば楽しいことを思い出して』と言った。
…どうやら、先輩の願った通りになったようだ。

以下略 AAS



15:sage
2017/07/15(土) 23:30:31.41 ID:i8/Uaq4i0
「んー…別に急ぐことは、ないと思うけどな」

「…」

彼女は、自分と一緒だ。この街にいた頃の。
以下略 AAS



16:sage
2017/07/15(土) 23:31:04.82 ID:i8/Uaq4i0
「だから、今ってのは昔の積み重ねになるっていうか…今しか出来ないことをありすにはやってほしいっていうかさ…」

「…無理して良いこと言わなくていいですよ」

「うるせ。…そう、『あらゆる想像に耐え得る心を養うべき』なんだよ。子供のうちにな」
以下略 AAS



17:sage
2017/07/15(土) 23:31:37.83 ID:i8/Uaq4i0
「まぁそういうことなんだよ。だからありすもな」

「はい」

「ありすも…まぁ少し話は違うかもしれないけど」
以下略 AAS



18:sage
2017/07/15(土) 23:32:09.71 ID:i8/Uaq4i0
「早く大人になろうっても…まぁ全然悪いことじゃないけどさ」

「…そうですか」

「嫌でも大人にはなれるんだ。だから今を、今のありすを楽しんでほしいかな、俺は」
以下略 AAS



19:sage
2017/07/15(土) 23:32:39.37 ID:i8/Uaq4i0
「…イマイチ分からないです」

「そこは分かりましたっていう所だろ…すまん、どうでもいい話だった」

「いえ…そんなこと、ないです」
以下略 AAS



20:sage
2017/07/15(土) 23:33:06.60 ID:i8/Uaq4i0
まぁそんなもんだろう、俺の話なんてものは。
でも、いつか彼女にもわかる時は来るだろう。
今話したことは憶えてなくても。きっと無駄にはならないだろう。

「よし、腹減ってきただろ。なんか食べにいくか」
以下略 AAS



21:sage
2017/07/15(土) 23:33:32.03 ID:i8/Uaq4i0
あの頃、自分が感じていたことを素直に、あの頃の通り伝えてやろう。
彼女は賢いから、色んなものを取捨選択して素晴らしい未来に辿り着くだろう。

だから暫くは、子供のままでいてほしい。
この子なら、きっと素敵な大人になれるであろうから。


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