45:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:33:53.35 ID:+eTeNEs7O
問答はしばらく続いた。飾り気のない問いに、真摯な回答が返ってくる。彼に嘘をついているような様子はなさそうだ。
これでもし、汚れた事務所だったなら……その時は、またこれからも彼女と一緒に。
なんてことを考えてしまっていた自分の、なんと小狡いことか。
「親方ァ!」
呼ばれ、思考を打ち切ってそちらを向いた。
「……大丈夫そうっス!」
頷いた。椅子から立ち上がり、彼の元へと向かう。
場所を空けてもらって隣にあぐらをかいた。
少しだけ、言っておきたいことがある。
そう前置きし、彼の目を覗き込む。
楽な業界じゃないんだろう。失敗することもあるだろう。落ち込むことだってあるんだろう。
そんなことはいい。
だけど。
……もしも。
もしも、これから先、彼女の屈託無い笑顔が濁ってしまうようなことがあれば。
その時はお前を、蛭ヶ岳に埋めてやる。
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