43:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:31:38.86 ID:+eTeNEs7O
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「………………あの。これはいったい、どういうことなのでしょう…………」
居酒屋の奥座敷、壁際角席に座る男性が、身体を小さくしながらおそるおそる声を上げた。
周りにはワザとお行儀悪く座る、見た目のあまりよろしくない若い衆。よくもまあそんなにも、と言いたくなるほどのシワが眉間に寄っている。
自分はカウンター席に腰掛け、少し遠目に眺めていた。
待ち構えていた居酒屋にやってきたのは、小綺麗にダークカラーのスーツを着こなした好青年だった。店内の違和感に気づかれる前に引っ張り込み、その席に座らせた。
「…………ええと、お父様とお話しを、ということだったはずなんですが」
「みんなにとっての娘みたいなモンだからな、間違ってねえだろ」
威圧感丸出しでそう言ったのは、奇しくもプロデューサーだという彼の横に陣取った、以前彼女に告白した男だった。
「ウチの大事な仲間連れてこうってんだ、相応の覚悟はできてんだろうなァ?」
もちろん、何か危害を加えるつもりなんてない。
ただ、彼女に今の生活を捨てさせ、楽ではないだろう業界へ連れ込もうとしているのだから。
彼女の人生を背負う覚悟ぐらいは、見せてもらわないと安心して見送れない。
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