77: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:38:30.41 ID:apvgBKJC0
「俺はさ。『勿体ない』なんて、そんなことないと思う。海ちゃんはきっと、自らが輝ける人だよ」
「え」
ウチが何か言葉を返す前に、お兄さんはじゃあね、と手を振りながら歩き去ってしまう。
追いかけることは簡単だった。なにせ、使っている艇庫は同じなのだから。
けれど、そうすることはできなかった。
「あ……」
ふと、下に視線を向けてみれば、手の中にあったのは、お兄さんに渡そうとしたおにぎり。
そういえば、お兄さんにあげようかと思ったけど、そこから話が逸れたんだっけ。
食べようと思えば、今食べてしまうことはできたけれど……。
「……おにぎり、余っちゃったなぁ」
不思議と、そんな気持ちにはなれなかった。
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