3:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:06:07.02 ID:fUsa0pQY0
まるで細い糸のように。かろうじて、ギリギリ切れていないだけの繋がりだけを残して。
ボクと両親の関係は段々と希薄になっていきました。
お父さんが、仕事が忙しいのを理由に家に帰ってこなくなって、どのくらいが経ったでしょうか。ボクとお父さんの繋がりは、毎月振り込まれるお給料だけ。
4:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:07:59.88 ID:fUsa0pQY0
「宿題……しなきゃですね」
どんよりと憂鬱になった気持ちを切り替えるために。と声を出したつもりが、思ったよりも暗い声が出てしまいましたね。
いけない、いけない。ボクはアイドル。誰からも愛されるアイドル。
5:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:10:41.59 ID:fUsa0pQY0
…………わかってはいるんです。
きっと、おそらく。
両親が別れないのはボクの所為なんたと。
6:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:13:08.72 ID:fUsa0pQY0
「ボク」は、とても幸せな女の子でした。
両親の愛情を目一杯に受けて育ちました。
自分に自信があって、そのせいで少しだけ挑発的で。
7:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:15:28.53 ID:fUsa0pQY0
いっぱい嘘をつきました。
やったこともない水泳が得意だと、嘘をつきました。
両親に愛されている子供は、習い事を沢山して、その結果を両親に報告するのです。
8:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:17:07.32 ID:fUsa0pQY0
世間の目に映る「ボク」は、そうやって嘘を積み重ねていく内に、段々と人気者になっていきました。
今の「ボク」は、それなりに色々な人に愛されている。そう自惚れています。
それでも、やっぱり。
9:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:18:41.45 ID:fUsa0pQY0
そうなると。
両親は世間体の為に、そして「ボク」の為に。
10:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:20:05.92 ID:fUsa0pQY0
ボクは、愛してほしかったんです。
ただ、普通の女の子のように、両親から愛されたかった。
最初は、それだけのつもりだったんです。
11:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:21:38.53 ID:fUsa0pQY0
……電車の窓から、外を眺めます。
知らない景色。
お父さんの会社の最寄り駅へと向かう電車。
12:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:23:32.11 ID:fUsa0pQY0
お父さん、お母さん。
ボクは、結局「ボク」にはなれませんでした。
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