緒方智絵里「あなたと過ごす、特別で怠惰な一日」
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5:名無しNIPPER[saga]
2017/07/13(木) 06:38:19.58 ID:BU9z89DK0
しかし、見つめる対象は四方八方、全方位に広がる闇の景色とは違う。
少女が見つめるのは、約一メートル先にある水たまりの様な、底の見えない池。
何も無いこの世界で、唯一ある事を許された存在。
「……」
彼女は相変わらず、何も語らない。
けれども、ふと立ち上がると目の前の池に向かってゆっくりと歩いていく。
直ぐ手前まで近づくと、少女はその身を乗り出して池の中を覗き込んだ。
底の見えない池の水面には、鏡面の様に自分の姿が映し出される。
少女らしさの残る幼き容貌に、周りの景色と同じ、光の宿らぬ闇色の瞳。
彼女のトレードマークとも言える、長い髪を後頭部で二本に束ねたツインテールの髪型。
少女―――緒方智絵里が持つ特徴の全てが、そこに映っていた。
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