善子「──不幸な誕生日。」
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12: ◆tdNJrUZxQg[saga]
2017/07/13(木) 03:11:30.88 ID:OVRkGwzJo

曜が指差した先、激しい風雨でほとんど先が見えない状態だったのだけど……言われて目を凝らす。


善子「嘘……」


私はその光景を見て絶句した。


曜「う、運転手さん!ここで降ります!!」

善子「す、すいません!開けてください!」

『は、はぁ、大丈夫かい?』

善子「はい!とにかく開けてください!!」


半ば叫ぶようにバスのドアを開けてもらう。

バスから飛び降りると、激しい暴風雨が襲い掛かってくる。

だけど、その中をどうにか泳ぐように前に進む。

そして、バス停のポールにしがみつくようにうずくまっている影に声を掛けた。


善子「千歌!!何やってんのよ!!」

千歌「えへへ、ごめん。ちょっとこの雨じゃこうして待ってるのが限界で……」

善子「そうじゃなくて……!!」

曜「とにかく、旅館まで……!!うわ!!」


話していたら、ますます雨風が強くなってきた。

このままじゃ旅館まで行くのもきつくない……?

そのときププーとバスのクラクションが風雨の音の中、辛うじて聞こえる。

運転手さんが気付いて、クラクションを鳴らしてくれたみたいだ。私たちは一先ずバスに戻ることにした。


『君達十千万旅館に行こうとしてるのかい?』

曜「は、はい……そうなんですけど……」

善子「雨が強すぎて……」

千歌「あ、それなら運転手さん!旅館の敷地内までバス動かせませんか?」

『構わないけど……』

千歌「あ、許可とかなら大丈夫だよ!旅館の娘がここにいるから!」

『そうか、わかったよ』


千歌の言葉でバスがゆっくりと動き出した。

一先ず落ち着いて話せる状態になって。


善子「千歌!!あんたあんな場所で何してんのよ!!」


私は怒鳴った。


千歌「善子ちゃんのこと待ってた」

善子「そうじゃなくて……!!危ないでしょ!!何かあったらどうするのよ!!」

千歌「でも、チカが言い出したから」

善子「……!!……あんたバカじゃないの!?」

千歌「えへへ、よく言われる」



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