【モバマス】サンタさんと他愛ない日々を
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30:名無しNIPPER[saga]
2017/07/17(月) 18:43:33.20 ID:6aS5L05Wo
顔が良いからなのか、天真爛漫な性根のせいなのか。
それとも、その両方か。

生まれ変わったら、そうやって普通に生きてるだけで得する生き物になりたい。

そんなことを妬み混じりにぼやく。

「それは、きっと違いますよ」
「女の子が言う『わたしかわいくないですよぉ』ぐらい信用ならない」
「ふっふっふーん。わかんないんですかぁ?本当にわかんないんですかぁ?」

ころころと笑ってみせるイヴ。
どうしよう、やっぱムカつくかもしれん。

「あなたのその心持ち、これがすなわちぃ〜〜」

溜める。
まだ溜める。まだまだ溜める。
――そして。

ぴしぃ、と指先が真っ直ぐに俺に向けられる。
どうでもいいけど人を指でさすな。





「惚れた弱み!」





俺はすっくと立ち上がり、歩き出す。
あぁ、腹減った。なんかすげぇ時間無駄にした気がする。
イヴとすれ違うように部屋を出る。

「……あのっ、弱み」

背後からイヴの困惑する声が聞こえる。

「……あ、あのぅ」

縋るようなイヴの声を無視して歩き続ける。

「……えと、怒ってます?怒っちゃいました?」

あぁ、冷凍したご飯と昨日のおかずの余りとお茶漬けがあったっけ。もう、今日は疲れたしそれでいいかなぁ。

ぼんやりと、そんなことを考えていると腰のあたりに軽い衝撃。
立ち止まり振り返ると、イヴが俺の腰に抱きつくようにして顔全体を埋めている。

「なんぞ。余は食事を所望しておる」

別に怒ってる訳でもないので場を濁すようにふざけて答えてみせる。

一つ。二つと沈黙が降りる。
余の……じゃなくて俺の冗談が滑ってるみたいで若干居た堪れない空気だ。

しかも、なぜか俺の腰に顔を埋めるイヴは顔こそ見えないものの、耳まで真っ赤だ。
というか、空気読めてない?俺、もしかして空気読めてない?

若干戦々恐々としながらイヴの言葉を待つ。

「…………その、わたしも若干弱みが……弱みでして……その、ですねぇ?」

その台詞と一緒に、悶えるようにぐりぐり、と腰の辺りにイヴの顔が左右に強く押し付けられるのが分かる。






―――なにいってんだこいつ。
意味が分からず、そう言った俺の袖のボタンはイヴとの壮絶な死闘の末、喰いちぎられた。

世の不条理を感じる。


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