【ミリマス】白石紬「あなたはエッチなのですか?」
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50: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/17(月) 18:53:50.94 ID:JO0yp0iM0

 まさか、置いて行かれたとでも言うのだろうか。
 それに気づかれぬままはぐれてしまったとでも言うのだろうか。

 張りつめていた糸がプツリと切れる。
 気丈に振る舞っていた心がポキリと折れる。

 すぐそこに見える電柱の影から、
 巨大な手持ち看板がおいでおいでをしている幻覚まで見てしまう。

 知り合いなんて誰もいない、勝手も分からない土地にたった一人で放り出される恐怖。


「紬」

 だからこそ、背後から掛けられた声に不必要なほど取り乱した。

 振り向き、その顔を見た瞬間に、どうにもこうにも冷静ではいられなくなってしまうのだ。

「プロデューサー! い、今までドコにいたんですっ!?」

「ドコって……そこの自販機だよ。人がジュースを買ってる間に、先々行っちゃうんだもんなぁ」

 両手に一つずつジュースを持って、男は彼女の問いに答える。

 その人畜無害な間抜け面に向けて、このままあらん限りの
 憤りを込めた言葉を叩きつけてやろうと口を開き――気づけば紬は腕の中。

 男に抱き留められたと理解するのと、
 すぅっと意識が遠のいたのは、殆ど同時のことだった。


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