8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/05(水) 16:56:23.31 ID:O0wn2k7EO
「あの、ありがとうございました。ロドニーさん」
「どういたしまして。さてと、じゃあ僕はもう行くよ」
「はい……」
「そんな不安そうな顔をしないで。君には信頼できるプロデューサーさんがいるんだろう? 遠慮せずにばんばん頼ればいいさ」
「そう、ですね。私を信じてくれてるプロデューサーさんですもんね」
「ああ、じゃあまた」
「はい、お気を付けて!」
「はは、ほたるちゃんもね」
そう言うロドニーさんに、ぺこりと頭を下げ、上げたその時にはもう彼の姿はありませんでした。
不思議な人だったけれど、悪い人じゃなかったなと思い返していたらプロデューサーさんが私を呼ぶ声がしました。
「おーい、ほたるー」
「あ、プロデューサーさんっ、遅かったですね」
「え? 遅いか?」
不思議そうに首を傾げるプロデューサーさんに、だってと時計を指し示すとプロデューサーさんが車を回してくると言ってから5分程しか経っていませんでした。
どうして、と身じろぐとポケットの中には壊れたはずのスマートフォンが壊れる前の状態で入っていました。
「なんで……」
「どうしたんだ?」
「……いえ、なんでもありません」
心配そうに私を見つめるプロデューサーさんに、大丈夫と言うように首を振って微笑むと納得していないようでしたが、「そうか」と頷きました。
「まあ……疲れるのかな。さ、帰ろう」
そう言って歩き出したプロデューサーさんに着いて行こうとするとスマートフォンに通知が。
誰からだろうと確認すると差出人不明のメッセージが。けれどそれを読んだらすぐにロドニーさんだと分かりました。
お仕事終わりの不思議な一時でしたけれど、私にとっては新しいことに気付かせてくれた一時で、夢のようだけど夢じゃない、大切な思い出となるということがはっきりと刻み込まれました。
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