7:名無しNIPPER[saga]
2017/07/03(月) 23:17:55.82 ID:PrYnNBSy0
暗い。光も世界も今が昼だか夜だかもさっぱり分からない。
パチパチと火の爆ぜるような音が聞こえる。誰かが焚火をしてんのか?
指や足は全く動かない。磔の刑にされた感じだ。いや、磔はもっとキツイよな。
とにかく、どんな形にせよ俺は生きてる。流されて、偶然どっかの川岸に流れ着いたんだな。
これが幸運と取るべきか不運と取るべきか、まだ判断しかねるぜ。
できればここが修道院の医務室的なところで、隣にかわいい修道女がいれば助かるんだけどな!
???「……金目のものはナシ。ったく、拾い損だった。早いとこ捨てちまおう」
女の声? それも若いぞ。そうか、年端もいかぬ少女が俺を救ってくれたんだな。
勇者が少女に救われるなんて悔しいが、一応礼は言っておかねぇとな!
勇者「……ア”ア”ッ!!!!!!!!!!!!」
???「なッ!? こいつ、生きてるのか?」
飛び退いた気配がした。俺のことを水死体だと思っていたらしいな。
声を出そう。腹の底から溜まった水を吐き出すように、声を絞り出そう。
指も動かせるか? いや、まだ駄目だ。氷みたいに冷たい。
勇者「ギャアアッ!!!!!!!! アガガガガッ!!!! ヴァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」
???「やめろ、騒ぐな。あたしの声は聞こえる?」
勇者「聞こえる! 聞こえるよ! だが見えねぇ! 目の前が真っ暗なんだ! あと指も足もみんな凍り付いちまってんだァ!」
???「安心しな。あんたの手足は凍っちゃいない」
勇者「ここはどこだ? 修道院?」
???「川沿いのキャンプ地。主にあたし一人が利用してるんだけどね」
キャンプ地? キャンプ地ってぇと、家族連れで訪れるあのキャンプ地? なんでこいつは一人で来ているんだ? ぼっちなのか?
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