勇者「勇者なんてクソ喰らえ」
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21:名無しNIPPER[saga]
2017/07/05(水) 19:36:16.98 ID:Cvr2387M0
卒業試験は剣技のみを査定基準とする、まさに俺のためだけにあるような内容だった。
だからこそ、最初に剣技以外の面で落とされたのが悔しくてたまらない。
時間を戻せるのならば、今すぐ三年前の騎士学校入学式に返りたい。

アイシャ「どうした、口をパクパクさせて。酸欠?」

勇者「ん? ああいや、これは違うんだ。埃を食べようかと思いましてね」

アイシャ「埃を喰っても、腹は膨れやしない。勇者、ラジオはあたしに任せて、あんたは食い物を探してきな」

勇者「うへぇ〜い」

食い物を探せ? アホか。四方八方、見渡す限り書類の山だぞ。
紙面には『RC-3型の機能不全による東ジャララバード炭鉱閉鎖』とか意味不明な文言がズラズラ書かれてる。
結局、生物兵器の製造工場ってことで良かったのかねー。
空腹で頭が回らねーよ。いや、物理的に頭は回らないけど、整った思考ができなくなってんの。
床に散乱した書類をひとつひとつ片づけていくと、下へ続く真鍮製の蓋が現れた。

勇者「この下が食料貯蔵庫になってんのかな」

蓋を開けると、次にあったのは透明な螺旋階段だ。
よほど丁寧に磨かれたらしく、気を緩めるとツルリと滑ってしまう。
手摺を掴みながら、慎重に慎重に階段を下りていく。
一番下までゆくと、今度は緑青の吹いた大きな銅の扉があった。

勇者「意外と作り込まれてんな」

左右は肩の位置まで土に埋もれている。つまり、扉の先は地下だ。
俺は階段を駆け上がって、ラジオと睨めっこしているアイシャの肩を揺さぶった。

勇者「アイシャ! 地下まで続いてる階段を見つけたぞ! やべぇ、食料どころじゃねぇ!」

アイシャ「了解了解、静かにしてくれるかい。王都の電波をキャッチできるか試してるんだから」

勇者「いいから来いよ! 一緒に扉を開けようぜ!」

アイシャ「静かに! 何か聞こえる」


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