【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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65: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/07/28(金) 23:07:13.51 ID:23vyEUVD0
 しわくちゃのスーツを着て、さいきっく・わらしべ人形を片手に握りしめたまま、俺は実家からバス停に向かって走りだす。
 新幹線の終発には間に合わないだろうが、今からならターミナル駅までは行けるはずだ。今夜はそこで一泊して、翌朝の新幹線で戻ればいい。

 春菜の言葉を思い出す。

 ――がんばります。眼鏡に恥じないために。いつか、眼鏡のフレームとレンズの向こうに、ファンのみなさんでいっぱいの、きらきらした、私の……私だけの景色を見ることができるように――

 俺は強く地面を蹴った。春菜だけの景色を、見せてやらなきゃいけない。


 比奈の言葉を思い出す。

 ――ま、そんなに心配はしてないんスけどね。プロデューサーはたぶん、そこまで無責任にも悪人にもなれないヒトっスから――

 俺は腕を振った。比奈には、最初からすべて見抜かれていた。


 裕美の言葉を思い出す。

 ――私が私に自信を持てないだけだったんだ。いまは、ぜんぜん違って見える。前を向くだけで、こんなに世界って、きらきらして見えるようになるんだね――

 俺はもっとスピードが出るように、上体をもっと前へと傾ける。
 俺の世界は、裕美たちのおかげで輝いて見えるようになったんだ。


 ほたるの言葉を思い出す。

 ――いつかきっと、この幸せをみんなにも届けられるように、頑張ります。お返ししなくちゃ……勇気、幸せ、想い出、たくさん、大切なものをもらったから――

 俺は走る。
 俺も、たくさん大切なものをもらっている。ほたるの出した勇気に足るものを、俺はまだ返しきれてない。


 茜の言葉を思い出す。

 ――ライブ! すごく熱くて! すごく楽しかったです! ぜんぶ、私をスカウトしてくれたプロデューサーのおかげです、ありがとうございました!――

 俺は走り続ける。
 まだここからだ。もっと、もっと熱くなってもらう。もっと高いところへ行ってもらう。

 世界が全部繋がっているように思えた。
 早く帰ろう。
 俺は、あいつらのプロデューサーなんだから。



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