【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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◆Z5wk4/jklI
[saga]
2017/07/28(金) 23:05:07.42 ID:23vyEUVD0
お袋が目のまえに差し出してきたものを見て、俺は間抜けな声を漏らした。
自分の顔が頬杖から零れかける。
「は……はは……」
俺の口から笑いが漏れた。
まさか、こんなことがあるなんて、いったい誰が想像するだろうか?
「ほらこれ、悩みを解決してくれるお人形なんですって」
お袋は得意げに言う。
俺の目のまえに差し出されたものは、曇ったような銀色の先割れスプーン。
スプーンの先と柄の間の部分に、てるてる坊主のように端のほつれたハンカチが巻かれ、ハンカチが外れないよう、細い紐で縛って固定してある。
「名前も聞いたんだけど……なんていったかしら……そう、タイの……ワラ人形?」
「……さいきっく・わらしべ人形……」
俺の声は震えた。
「そう、たしかそんな名前ね!」お袋は空いている方の手のひらで腰を打つ。「あんた知ってるの? 都会で流行ってるのかしら。困ってる人の悩みが解決したら、つぎの誰かに渡すんですって。あたしの悩みは解決したから、それ、あんたにあげるわ」
差し出された人形を、俺は受け取る。
手が震えた。
間違いなかった。
スプーンの先に油性ペンで書かれた顔はほとんど剥げ落ち、結んでいた紐は別のものに代わっている。
だけれどそれは間違いなく、あの日、ショッピングモールで茜と堀裕子、それと迷子の子供が一緒に念を送り、迷子の子供の手に渡った、裕子のスプーンで作られた人形だった。
「ははははは……」
俺は人形を握り締めて、もう片方の手で腹を抱えて笑い続けた。
ここまでくれば、誰も追いかけて来れないだろうと思っていた。
距離を離せば、嫌でも縁は切れてしまうだろうと。
それがどうだ。縁は切れないどころか、こんなところまで追いかけてきた。
時に信じられないような奇跡だって起こしてみせる。それが、アイドル。
「はー……」ひとしきり笑い終えて、俺は立ち上がる。「ありがとう、お袋」
ありがとう、茜。裕子。迷子の子ども。そして人形をここまで継ぎ続けた、心優しき人達。
「俺さ、帰るわ」
「……え、今からかい?」
お袋は目を丸くする。俺は頷いた。
「ああ、親父によろしく」俺は居間に戻り、自分の荷物が入ったリュックサックのジッパーを開くと、乱暴に放り込んでいたスーツを引っ張り出す。「大事な仕事が、あるんだ」
「……そう」お袋は、俺の背に穏やかに声をかける。「がんばんなさいよ」
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