【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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◆Z5wk4/jklI
[saga]
2017/07/21(金) 20:13:39.65 ID:CDK467qC0
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「プロデューサー!」
ロビーを歩いていると、背中に声がかかった。
「……比奈か」
俺は後ろを振り向く。ジャージ姿の比奈がこちらに走ってきていた。
比奈にレッスンの予定はなかったはずだ。 というか、比奈にレッスンの予定が入っていない日を選んだ。
ほかの四人は日中、学校があるから、プロダクションから出ていく俺と鉢合わせすることはない。
比奈にレッスンの予定がないにもかかわらずここにいるということは、自主的なレッスンか。
タイミングが悪い。
「メール、見たっス。……行っちゃうんスか」
比奈は真剣な眼をして俺の前に立つ。
「あー、まぁ、ちょっと、メールの通りでな、親が――」
「どのくらいで帰ってくるっスか?」
比奈は俺の言葉を遮るように言う。
「病状見てからだな」
「……戻ってこないつもりっスね?」
「……いや、そんなつもりじゃ……」
「あのとき」比奈はうつむく。「サマーフェスのとき、アタシたちのユニットのこと、ちゃんと責任取ってくれるって言ってたじゃないっスか、あれは……嘘だったんスか?」
比奈の声は、すこし震えているように聞こえた。
「そんなことはないさ。責任を取る」
「じゃあ」
「大丈夫だ。先輩は敏腕だからな。必ずお前たちを輝かせてくれる」
「そうじゃないっス!」比奈はうつむいたまま若干語勢を強め、首を横に振る。「そうじゃないっスよプロデューサー……プロデューサーは、それでいいんスか……?」
「……お前たちが活躍するのがいちばんだよ」
「茜ちゃんも春菜ちゃんも裕美ちゃんもほたるちゃんも、プロデューサーは、置いていっちゃうんスか」
「……」
「そんなの、責任取るって言わないっス……このままじゃアタシ、ほんとうに共犯者になっちゃうっスよ……みんなになんて説明したらいいか」
「……」
「お休みから戻ってくる人が敏腕だから任せるって、プロデューサーはアタシたちと最後までやりたいと思ってはくれないんスか」
「……俺は、お前たちが高いところまで行けるほうを選ぶ」
「ほんとに、そう思ってるんスか」
「……ああ」
「……」
「お前たちなら……お前たちと先輩ならできるって確信してるよ」
「アタシ、まだあのとき借りた五千円返してないっス」
「ああ、あれな」思い出して、俺は笑う。スカウトのときの買い出しで立て替えていた五千円だ。「……いいよ、出世祝いの先払いだ」
「……」
比奈はうつむいたまま、小さく肩を震わせていた。
俺は黙って、比奈に背を向けて、歩き出す。
「プロデューサーは、嘘をついてるっス」
俺の背中に向かって比奈が低い声で言う。俺は足を止めた。
「言ったでしょう。アタシ、マンガ描いてるくらいっスから、人間観察力は高いんスよ……プロデューサー、アタシと話してるあいだ、一回もアタシのこと見てないっス」
最後のほうは、ほとんどかすれ声だった。
これ以上はだめだと俺は思った。
「比奈、お前たちが思っている以上に芸能界は厳しい。だから一番近道を行け。それが、お前たちにとって一番いいことなんだ。……またな。比奈」
俺は比奈に背中を向けたまま言い、歩き出した。比奈はもう、俺を引き留めなかった。
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