【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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20: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/07/07(金) 21:02:16.16 ID:XFMgPNzd0
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 ――そして、時間は現在に戻る。
 不安を残したまま曲は終わり、裕美を除く全員がカフボックスのレバーをオンにする。
 比奈がすぐに裕美の肩を叩き、裕美は慌てて自分もカフボックスを操作した。

「んー! ほんとにすっごくいい詩だったね! こーんなかんじで、みんなのレコメン曲流してアゲアゲで行くから、よろしくちゃーん! それじゃ、今日はゲストいっぱいだから、どんどんいくよー、つぎ、ほたるちゃんよろー!」

「あ、はい。私の好きな曲は……」

 ほたるが自分のエピソードと、想い出の曲を紹介していく。

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「……関さん、大丈夫ですかね?」

 俺のとなりのディレクターが心配そうに尋ねた。
 俺はブースの中の関裕美の表情をうかがう。

「曲のあいだにキャストに連絡もできますけど」

 PAがブースから視線を外さずに行った。

「そうですね……」

 俺は考える。
 裕美を引っ込めるのも、俺が外まで出て行って裕美の緊張の元たる客をブースから離すのも簡単なことだ。
 だが、それでは裕美は前に進めない。

 疑心暗鬼を生ず。
 ブースの中からは、ギャラリーの表情は見えても、声は聞こえない。
 あの制服女子三人組がどんな話をしているかもわからない。
 裕美に対して好意的なのか、逆に悪意があって額のことをバカにしているのかも、答え合わせは不可能だ。

 答えはない。悩んで解決できる問題ではない。
 だから裕美自身が、前に進むしかない。

 俺は茜たち四人と、唯の表情を見る。
 全員、笑顔ではあるが、表情は真剣だ。
 俺も覚悟を決める。

「そちらが大丈夫であれば、まだ続行させてください。ほんとうにまずいときには、ストップをかけます」

「了解です」

「たぶん――あいつらはもう、弱くはないですから」

 言いながら、俺は二度目の視線を送ってきた比奈に対して、目で合図を送った。

 比奈が俺の意図を汲んだかどうかはわからないが、ひとつ頷く。
 ――それと同時に、比奈の向こうに見えている唯が、俺を見て、にっと笑った。




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