16: ◆tADl8swv.6[sage saga]
2017/06/28(水) 00:31:48.23 ID:jrlvIJl/0
「ん…………、はっ、ぁ───」
吸い付くだけでは物足りず、まゆは舌で傷口を撫で始める。さらさらした茶色の髪が乱れているのも気にせずに、甘美な声を奏でる。
───ゾクゾクする。言い知れぬ感覚が、脳を、全身を支配してくる。
滅多なことだからか、単純にまゆが上手いのか。
まゆの艶やかな舌遣いの前に、溶けてしまいそうな錯覚に陥った。
「ごめんなさい……ごめんなさい…………おい、しい……プロデューサーさん───」
涙を流しながら、許しを乞いながらそれでも彼女はやめない。止めれない。例え一滴でも余すものか。
そんな気概を感じた。
「んっ…………く…………」
左手を掴んでくる指に力が入る。何があっても絶対に離さないと、そう言外に語っているように。
誰よりも大好きなその腕を、誰にも取られまいとするように。
愛も、献身も、嫉妬も、欲望も。
理性も、感情も。本能も、疾患も。
すべてが融け合って溶け合ったようなドロドロとした熱いモノが、彼女の中に渦巻いていた。
そうして、今度は悠久と感じるくらい長い時間。
甘い遊夢(ユメ)のような一時を、過ごした。
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