31: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/24(土) 23:49:07.34 ID:tI5dYSFO0
つくづくプロデューサーはずるいと思う。
取って来てくれる仕事は毎回うええええって感じなんだけど、
終わってみればスッキリした顔の自分がいる。
32: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/24(土) 23:50:57.53 ID:tI5dYSFO0
ライブ前日。
結局あれから一度もプロデューサーと顔をあわせることがなかった。
事務所に行ってみてももぬけの殻。
33: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/24(土) 23:54:38.91 ID:tI5dYSFO0
「もうチケットだって販売してるのは知ってるよ。それを買ってくれてるかもしれないファンに対しても失礼だと思う」
「でもね、でも。私の引退なんかのためにライブをする必要はないと思うんだ」
「こんなこと、プロとして失格だとは思う」
34: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/24(土) 23:56:29.70 ID:tI5dYSFO0
「だって、だってそうだよ!」
もう……限界だった。
「しぶりんやしまむーみたいに人気があるわけじゃないじゃんっ!」
35: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/24(土) 23:59:14.76 ID:tI5dYSFO0
…………言っちゃった。
ついに言っちゃった。
胸の内に溜め込んだ思いを吐き出したところで、罪悪感に押しつぶされるだけだ。
36: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/25(日) 00:01:17.65 ID:VqLbmOYz0
「未央」
怒るわけでもなく、もちろん茶化す様子もなく。
プロデューサーは静かに名前を呼んだ。
37: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/25(日) 00:03:55.51 ID:VqLbmOYz0
「未央のプロデュースには反省点がたくさんある」
「まず売り出す時期を間違えた。あの時は出せば売れると思ってた。それに売れたがっているお前に笑顔になって欲しかったんだ」
「だからメディアの露出を増やした。我ながら芸のないプロデュースだったと思う」
38: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/25(日) 00:07:51.57 ID:VqLbmOYz0
一本のムービーが再生される。
これは……プロデューサーの声?
『この人のこと、知ってますか?』
39: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/25(日) 00:10:16.55 ID:VqLbmOYz0
「凛のファンはな、10代から40代くらいの男の人が多いんだ」
「綺麗で、かっこよくて、王道なクールアイドルだからな」
「でもその分、中高年の女性からはあまり人気がない。そこはターゲットじゃないんだ」
40: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/25(日) 00:14:34.97 ID:VqLbmOYz0
「未央はな、うちのアイドルの中でも一番幅広く人気があるんだよ」
「老若男女、誰からも認知されてる」
「確かに凛や卯月に比べると熱狂的なファンは少ないのかもしれないな」
41: ◆oeRx5YHce.[saga]
2017/06/25(日) 00:18:30.57 ID:VqLbmOYz0
気づいたらプロデューサーに抱きついていた。
不甲斐なくて、申し訳なくて。
ファンのみんなに、自分に、そしてプロデューサーに。
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