北沢志保「あなたと黒猫、あるいは私」
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5:名無しNIPPER[saga]
2017/06/23(金) 00:09:08.12 ID:MYMtcl9/0
「プロデューサーさん、この後の予定は」

「ちょっと書類仕事をしたら帰るだけだな。志保は?」

「小鳥さんが帰ってきたら、それで」

「……そう言えば、小鳥さんはこの雨の中、いったいどこに」

「何か、忘れ物? だとか」

「忘れ物……まあ、帰ってきてから聞けばいいか」

「そうですね」

 話しながら、私はプロデューサーさんにコーヒーを入れて渡す。

「ん、ありがとう、志保」

「インスタントですけど」

「それでも嬉しいよ。ありがとう」

「……どういたしまして」

 プロデューサーさんはコーヒーに口を付け、「あちっ」と離す。プロデューサーさんの膝に寝転ぶ猫は「にゃあ」と鳴いて、私の方に跳んでくる。

「そうだ、俺がいるから、志保はもう帰っていいぞ」

「いえ、頼まれたのは私なので。小鳥さんが帰ってくるまではいますよ。今日は早く帰っても、あまり意味がないので」

「そうか……うん。なら、もうちょっと付き合ってもらおうかな」

「はい」

 それから小鳥さんが帰ってくるまでの間、私たちは黒猫と一緒に穏やかな時間を過ごした。普段よりも会話をしていたのは、たぶん、猫のせいで、猫のおかげだと思う。



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