北沢志保「あなたと黒猫、あるいは私」
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6:名無しNIPPER[saga]
2017/06/23(金) 00:09:37.08 ID:MYMtcl9/0
 後日、あの猫は飼い猫だったということが判明して、無事に飼い主のもとへと帰された。

 プロデューサーさんには「さびしいか?」と尋ねられたが、さびしさはあまりなかった。そもそも私は一日しか会っていないし……むしろ、安心の気持ちの方が大きかったかもしれない。

 あの子は捨てられたわけではなく、きちんと探している人がいたんだ……って、そう思えたから。

 しかし、プロデューサーさんは「俺はさびしい……」と言っていた。まったく、これだからプロデューサーさんは。

「私たちが、いるじゃないですか」

「それはそうだけど……人間と猫じゃ、やっぱり違うだろ?」

「……にゃあ」

「ん?」

「なんでもありません」

「な、志保。今のもう一回してくれないか? 録音して部屋で聞いたら、さびしくないと思うんだが」

「やりません。こんなの録音してひとり部屋で聞いている方がさびしいでしょう」

 それでもプロデューサーさんは「頼むから〜」としつこかったが、私は無視した。

 その後、それを見ていた可奈に何があったのか聞かれた。

 私はなんでもないと答えた。






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