4: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/06/22(木) 21:36:16.50 ID:ys67cGWM0
「鍵、ちゃんとありますか?」
待ってろ、と言いながらはぁとさんは鞄の中をごそごそと漁る。が、どうやら見当たらないらしい。
「あれ?おっかしな〜…?」
「…ポッケの中とかは?」
「う〜ん…あ、あった!」
「よかった」
はぁとさんも俺も明日はオフだ。…だからいつもよりもハイペースで飲んでしまったのだろう。でもこうして早めに回復しているところを見るに、やっぱり酒に強いのが分かる。
「じゃ、ゆっくり休んでくださいね。おやすみなさい」
「ちょっと待てよプロデューサー」
立ち去ろうとしたところを、はぁとさんに呼び止められた。何故か、薄暗くても分かるほど顔が真っ赤だ。まだアルコールが残ってるんだろうか。
「あー…これから…飲まない?」
やっぱりまだアルコール抜けてないわこりゃ。
「いや、プロデューサーさ、その、飲み会だといつもハンドルキーパー引き受けて酒飲まないし、なんかちょっとかわいそうじゃん?」
「かわいそうってなんすか」
俺がハンドルキーパーを引き受けてるのは酒に弱いからだし。だから『下戸』という正当な理由で酒を断れるので、少々これを幸運にも感じていた。いや、弱いというよりは、意地でも終電ギリギリまで飲む先輩とアイドル達について行けないだけなんだけど。
「飲んだら俺帰れないですよ」
ここから自宅までは車で30分ほど。歩いて帰るには遠すぎる。タクシー代もバカにはならない。
「…泊まっ…てけば…いいじゃん」
「はぁ!?」
成人済みの男女が二人きりで一夜を共に過ごすこと意味を、はぁとさんが分からないはずが無い。それにプロデューサーとアイドルだ。何もなくても、問題大ありだ。
こんな事を口走るなんて、はぁとさんは本格的に泥酔しているのだろうか。耳まで真っ赤だし。
「…あんまり変なことを言わないでください、聞かなかったことにしま」
そこから先の言葉は、柔らかい感触によって封じられた
気づいたときには、両頬がその柔らかい手に挟まれていて。唇がもっと柔らかい唇にふさがれていて。
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