神様、どうか彼らを御助け下さい。
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10: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2017/06/22(木) 14:02:52.92 ID:eLlVio3H0

「お待ちしておりやした」

 署内に入った俺たちをすぐに出迎えたのは、捜査一課のボスである南原真南課長。刑事と聞いてすぐに思い浮かべるとおりの強面で、白髪交じりの短髪はいつも丁寧に同じ長さに揃えられている。
 責任感が強く俺たちの――というより稀有のことも丁重に扱ってくれるが、ネクタイのセンスが悪いことだけが珠に瑕だった。

「有田殿、本日もよろしくお願いします」

 きちりとお辞儀をする真南に対し、稀有はかすかに会釈しただけで、居心地悪そうに先を促した。

「それで、死体は」

「第四安置室に」

「わかりました」

 そう言ってすたすたと歩いていってしまう。

「変わらないな」

 嘆息こそしないまでも、やはり悲しくはなる。退屈だと言っていた様に、彼女にとってこれは仕事と呼べるほどやりがいのあるものではないのだろう。
 求められるままに、やりたくもない仕事を淡々とこなすことの辛さは、俺にはいまいちわからない。人をいくらも殺したことだってあるが、それだって結構割り切れていたのだ。




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