【ミリマス】ザ・ミリオンオールスターズ! 〜銀河の果てまで届けちゃいM@S〜
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93: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/06/27(火) 19:20:33.95 ID:c8riKZqL0
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 そも、春香ことハルシュタインは悪の大総統である前に、
 一人の科学者として非常に優れた人物だった。

 特にロボット工学の分野に目覚ましく、かつての地球征服作戦において、
 春香の生み出した怪ロボットたちが人々の脅威となったことは広く一般に知られている。

 その天才ロボット博士が今、一体何といった? 
「自爆装置を追加した」そう! 確かに言ってのけたのだ。

 核を動力として動いている、ロボット犬を前にして!

「しょ、正気なの? 春香さん……!」

 桃子は、自分の声が震えていることを自覚した。

 ……怯えていたのだ、恐怖していた。
 目の前に立つ女性の、本気とも嘘とも取れぬ発言に。

「桃子ちゃん……私はいつだって正気だよ」

 言って、再びくっくと笑う。

 見る者の心をざわりとさせる、やすりをかけるような笑い声。

 平時のそれとは明らかに違うその態度に、桃子だけでない、
 味方であるはずのひなたでさえその身を引いて彼女を見ていた。


「怪しい素振りを見せれば、即、このスイッチを押す」

 脅しではない、そしてまた、正気を失っているワケでもない。
 強い意志を秘めた春香の双眸が、彼女の底の知れなさを雄弁に語る。

 ……まさかまだ、これ以上の切り札を?

 頭の中では「ハッタリだ」と思っても、確かめることはできなかった。

 彼女の堂々とした態度を見る限り、自分たちは爆発の被害に巻き込まれないような
 何らかの対策をしていると、そう考えるのが自然だろう。

 気づけば、桃子は片足を下げていた。

 軍配を握る手に汗を掻き、呼吸も大きく安定しない。

 下手なブラフだと笑うことすらできず、
 桃子が悔しさに唇をギュッと噛みしめる。

 ……これが、これがハルシュタイン。
 たった一つの甘味を求め、世界を相手取った悪の女王。


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