165:名無しNIPPER[saga]
2017/06/20(火) 03:04:24.60 ID:smyUCZOA0
ダイヤさんはしばらく顎に手をあてていたが、やがて小さく呼びかけてきた。
ダイヤ「……胡蝶の夢、という話を知っていますか」
千歌「胡椒の夢?」
ダイヤ「胡蝶、ですわ。自分が蝶になって飛んでいる夢を見たとき、『蝶』が夢なのか」
ダイヤ「それとも実は自分は『蝶』で、『起きている今』が夢なのか。そんな話です」
脳裏に、船の上で踊っていた光景が浮かんでくる。
私が持っていた灯りの先に、蝶が飛んでいた。
千歌「……」
千歌「今が夢なのか、私がいた未来が、ただの夢だったのか……」
ダイヤ「それは、誰にもわからないことですわ。『本物の今』などというものは、実はないのかもしれません」
千歌「でも、だったら、どうしたら――」
声を上げようとした私の唇を、ダイヤさんは指で押さえた。
ダイヤ「千歌さん」
ダイヤ「帰りなさいな」
きっぱりとダイヤさんは言い切った。
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