79: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 21:59:09.88 ID:5UUNa7QZ0
てっきり、プロデューサーが乗り気でないとばかり思っていた。だが、そうでないとしたら。
それまでの結果がこれまでの態度であったとしたら。
「もしかしてプロデューサー、サンノスの企画、何度か出してたりしてたの……?」
プロデューサーは驚いたように振り返った。
「いやあ、それはどうかな――」
誤魔化すように微笑んでみせたけど、小さく首を振った。
「隠すのもあれか……ああ、何度かは」
「うそ……」
信じられないようにくみちーが呟いた。
「ホントだよ。イベントの折とかにな。でも、全部だめだった」
「え……なんで言ってくれなかったの……?」
「企画を出してた事か? 言ってどうする。叶わないのに期待させるのは、いいことじゃないだろ」
聞き覚えのある言葉だった。みうみうの生放送事件の時に、私に言ったことだ。プロデューサーはそのスタンスを、ファンだけではなく私たちにも貫いていたのだ。
そうなると、最初に私に無理と言い放った理由も分かった。あそこまではっきりとした拒絶。それも、『ダメ』でもなければ『できない』でもない。
無理という言葉の意味。
私はアイドルだからとか、プロデューサーだからとか難しく考えてしまっていた。
なんてことはない。それはプロデューサーという一個人として言ったのだ。
何度も、何度も企画を出しては拒否されて。
無理という言葉は、プロデューサーの心のうちそのものだった。
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