本田未央「Re:サンセットノスタルジー」
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60: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 21:31:28.39 ID:5UUNa7QZ0


 撫でるのを止めて私は尋ねた。みうみうは不思議そうに私の顔を覗き込んだ。


「どうしてそんなこと聞くの?」

「いやあ、押し付けちゃったかなって思って」


 みうみうはいい子で、まっすぐだ。ちょっと暴走気味なくらい。

 つっちーに言ったとおり、私は決してみうみうを利用しようなんか考えていなかったし、これからもそうしたいとは思わなかった。

 でも、その行動を取らせた一因が私にあるのは間違いない。

 もしそれが、私の為にやったことならば。


 その返答は、力強い抱擁だった。


「立ちたいに決まってるでしょ」


 とっても力強く、ちょっと首が締まって苦しいほどだ。


「だからあんなことやってプロデューサーに怒られたんだよー」


「思い出したらまた落ち込んできた」そう言ってがっくりとうなだれ、巻きつく力も弱まって息が楽になった。


「本当に?」

「もう、しつこいよ未央ちゃん。昨日も言ったけど、わたしもやりたいの!」


 怒っているようにも、拗ねているようにも聞こえる口調だった。

 みうみうはそういう子だった。

 皆を笑顔にするのが好きで、でもそれは自分がしたいからしている。

 誰かに言われたらといって、素直に従うタイプじゃない。

 なにかをやるにしても、自分で納得してからやる。結果はともかくだけど。

 私はまたみうみうの頭をなでた。さっきよりも優しく。


「ゴメン、変なこと聞いてさ」

「いいけどさー……」


 美羽はしょんぼりした様子で私の肩にぐったりと顎を乗せてくる。


「やらなかった方が、よかったかな?」

「ちょっとー。さっきまでの元気はどうしたの?」


 コロコロと表情が変わるのは可愛いが、気分もコロコロと変わり過ぎだ。







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