57: ◆saguDXyqCw
2017/06/18(日) 21:28:10.65 ID:5UUNa7QZ0
言いあぐねた結果、できあがった会話の空白は沈黙が埋めることになった。
「あの時だよね」
沈黙を退かしたのは、あーちゃんだった。
「忘れものって言った時。あの時に言いに行ったんだよね」
驚きのあまり言葉を失う。そこまで見抜かれていたなんて。私の反応を見て、あーちゃんは笑んだ。
その仕草は、ひどく寂しそうで胸が痛くなった。
「私ね、別にいいと思うよ。未央ちゃんのやりたいことを私が止める権利はないし……でもさ、未央ちゃんはそんなに抱えることができるの? ニュージェネもあって、ポジパもあって……」
「あーちゃん……」
「私は、ポジパだけで精いっぱいだよ」
静かに呟いたあーちゃんの瞳は私を捉えていた。
瞳に瞬いた悲しげな煌きに、息が詰まった。
それもつかの間。視線を逸らしたあーちゃんは、小さく俯くと荷物を抱えた。
「じゃあね、未央ちゃん」
去り際に言った時には、私と目を合わせようともしなかった。
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